向島の「HOLLYday」:喫茶店ホリが紡ぐ新たな物語

向島の「HOLLYday」:喫茶店ホリが紡ぐ新たな物語

カテゴリ: すみだのお店

向島墨田開店閉店飲食店

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向島の“ハリウッド”とひそかに呼ばれる場所に、今年1月1日、新しいコーヒー&サンドイッチのお店「HOLLYday」がオープン。その名前の裏に込められた特別な想いが、多くの人々の注目を集めています。

実は「HOLLYday」は、東京オリンピックの年に創業した喫茶店「ホリ」を第三者継承で引き継いだお店。地域に愛され続けた空間を大切に残しつつ、新たな息吹を吹き込んだ現店主。店名の由来を尋ねると、「ホリでの毎日がこれからも続きますように」との願いを込めて、「ホリ」の後ろに「デイ」を加えたそうです。その言葉には、喫茶店への深い愛情と、新しい一歩への期待が込められています。

お店は水戸街道沿いにありながら、その存在を知らない地域住民も少なくないとのこと。それでも昔から町内会の人が利用していたり、喫茶好きには知られていたり、知る人ぞ知る存在だったようです。

特に興味深いのは、通りを挟んで向かいにある老舗蕎麦店「角萬」から「HOLLYday」を眺めると、横の工務店「WOOD SPACE」の文字が重なり「HOLLYWOOD」と読める点。意図的なのかどうかは不明ですが、地元の人々も思わず微笑んでしまう、粋な仕掛けです。

ホリーと隣の工務店で形作られる”HOLLY WOOD”の文字

往年の味を大切に、進化するメニュー

メニューの目玉は、丁寧なハンドドリップで淹れたコーヒーと、自家製マヨネーズを使ったたまご焼きサンド。コーヒーは聖蹟桜ヶ丘の「takbeans」さんの自家焙煎豆のコーヒー。店主が厳選した浅煎りコーヒーを楽しむことができ、たまご焼きサンドは先代店主から受け継がれた秘伝のレシピで作られています。ふわふわの焼き玉子と自家製マヨネーズの絶妙なハーモニーが口いっぱいに広がります。

一口サイズで提供されるたまご焼きサンドは、芸者さんや女性客が気軽に食べられるように考案されたもの。お好みで「トーストする」「生のまま」「半分ずつ」など選べる楽しみも。お客さんと会話をするきっかけとして、「お気に入りの味」を一緒に見つけられる楽しさを提供したいという想いから取り入れた工夫だそうです。

「どちらがお好みですか?」というやり取りから始まる会話は、店主にとってもお客さんにとっても特別なひととき。そんな心遣いが訪れる人々を温かく迎えます。さらに、古参客が待ち望む「アメリカンサンド」も再登場予定とのこと。今からたのしみです。

ホリさんのたまご焼きサンドと命名された商品とtakbeansさんの豆を使ったハンドドリップコーヒー
ゆったりとした時間が流れる空間

店内は、山小屋風のノスタルジックな雰囲気を残しながらも、新店主の感性が光る心地よい空間にリフレッシュ。気づけば長居してしまう、そんな居心地の良さがありました。

新たな命を吹き込むまでの道のり

店主は元々ホリに通っていたお客さん。1年前、体調を崩した先代から引き継ぎの話を受け、墨田区に移り住みました。引き継ぎ後は、ホリの物量が多く、お店の片付けに1年かかったとのこと。途中めげそうになりながらも労働をスポーツにとらえて掃除をしていたと教えてくれました。

大変な片付けや自ら手がけた改装工事は、近所の人たちに助けてもらいながら、労働をスポーツととらえて作業していたんだとか

地域との縁は深く、5年前から曳舟駅前の朝市「ヤッチャバ」の事務局員を務めていて時間が開いている時に入っているんだとか。そこでできた地域の方々の縁と協力のおかげでお店を蘇らせることができたと語ります。その詳しい経緯はnoteで公開中!

HOLLYdayの歩みを知るリンク

現在は更新が止まっているようですが、店主は「ホリデイの日常をこれから書いていきたい」と意欲を語っていました。これからの更新にも期待です!

お店にはいろいろな遊び心も

「HOLLYday」の店内は、目に見えない部分にもたくさんの物語が詰まっています。

奥にある棚は、ヤッチャバで事務局員を務める店主と親交のある建築デザイナーが設計したもの。さらに、先代店主のおかみさんが洋裁に使っていた天板を捨てずに棚として再利用するなど、歴史と想いを織り込んだ工夫が随所に見られます。

また、「ヤッチャバ」に出店するみかん農家さんが冷暖房や電気系統を手伝ってくれたというエピソードも。地元のつながりが新たな店舗を形作っています。

店内やトイレには、時間が遅れた時計や時間が止まったままの時計が置かれており、その横には「時間を忘れてゆっくりと」という店主のメッセージがキャプションとして添えられています。訪れる人々がくつろぎ、肩の力を抜けるようにという配慮が空間の随所に感じられる遊び心がありました。

ポジティブマインドで過ごせる工夫の数々
近所の英語が堪能な友人にお願いしたというコーヒーチケットの文言。たのしい英文が踊っています
コーヒーチケットには、お客さんとのコミュニケーションをとるための仕組みづくりがありました
北海道にいる店主の祖父が制作した元々家の行事で使っていたという「準備中」と「営業中」の看板札。開店記念に祖母に譲り受けたとのこと

見栄を張らないで過ごせる時間を

引き継いだ今これからどんなお店にしていきたいかを尋ねました。

「元々お客さんとして来ていたときに、ホリのお店の良さは、先代店主がありのままで好き勝手言える点でした。サンドを注文しても『もう疲れちゃったな』と言ってしまったり、おいしいと伝えても照れくさそうに『適当に作った』と言ったり。お店とお客さんの距離感というよりも人対人のコミュニケーションで輪の中に入れてもらった気がしたんです。自分自身は会社員だったので肩肘張らずに過ごせる空間がとっても楽でした。オフの感じで過ごせたるようなあったかい空間づくりをしていきたいなと思っています」と

向島の新たなランドマークとなりつつある「HOLLYday」。ホリが紡いだ物語に、新たなページが加わり、訪れる人々に特別なひとときを届けています。あなたの日常に少しの贅沢を。「HOLLYday」で過ごす時間が、きっとあなたの“特別な日”になるはずです。

店舗情報

  • 住所:〒131-0033 東京都墨田区向島2丁目22-10
  • 営業時間
     日月火 10:00~17:00(1月いっぱいは9:00~17:00)
     土金  15:00~19:00
     ※詳細はInstagramプロフィール、または店頭でご確認ください。
  • 店内全席禁煙
  • 定休日:水曜・木曜
  • SNSInstagram

向島の新たな物語、ぜひ体感してください。

毛柴新発売
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すみラボ編集部員です。すみだエリアの情報を発信していきます