特注家具・オーダー家具の株式会社間中木工所

カテゴリ: すみだの会社

立花経営者インタビュー製造業錦糸

100年以上の歴史を持つ「間中木工所」は、創業当初は木工加工を中心に、戦時中は軍需製品、戦後は育児ベッドなどの既製品家具を製造してきました。その後、特注家具製造へと業態を変化させながらも、一貫して「技術で社会に奉仕する」という理念を受け継いできました。

6代目として家業を継ぎ、BtoBからBtoCへの展開を模索する間中建治(たてはる)さんに、家業を受け継いだ経緯や木工の魅力について、「テクネットすみだ」に構える工場でお話を伺いました。

100年の歴史を誇る木工所のルーツとは

間中木工所のはじまりについて教えてください

創業は大正13年(1924年)、曽祖父が関東大震災のあと錦糸町に本拠地を置いて始めました。当時は木工製品が日用品として使われていた時代で、そこから徐々に家具や内装へと事業が広がっていきました。現在の工場があるテクネットすみだには、1993年に工場を移転しています。ものづくりの町すみだ、の一員として、創業時から一貫して特注家具・オーダー家具の製造をしています。

テクネットすみだは1991年に設立された施設で、異業種の企業がマンションのようにフロアごとに入っています。木工だけでなく、板金加工やベンチャーなど、さまざまな職種の企業が集まっていますね。間中木工所は20年以上ここを拠点にしています。テクネットすみだ自体もいろいろ新しいことも始めていて、千葉大学さんと協力してロボット機械を置いて新しい試みをしています。基本的に間中木工所は木工部を支えていて、うちの父が主導で動いています。

立花にあるテクネットすみだの1階に工場を構えています

間中木工所が創業100周年を迎えたときにリニューアルしたロゴについて、エピソードを教えてください

新しいロゴは、墨田区出身のデザイナーの髙橋正実さんに手がけていただきました。採用の決め手となった点は、カッコいいと感じたところですね。

以前の祖父が作成したロゴは、「M」の文字に「anaka」が入っていて、今回のものとは全く異なるイメージでした。新しいロゴは、「まんなか(間中)」を表現していて、赤い色がこれまで何度も復興を経験してきた上にある太陽のような姿を表し、日本、そして日本のものづくりの心を表現しています。木を組み合わせたイメージのスクエアのロゴが平面から立体へとこれから展開し、間中木工所を様々な角度から語る、というコンセプトが、このロゴに込められていると説明いただき、このロゴにしよう、と決めました。

新しいロゴが背中にプリントされたユニフォーム

家業を継ぐことは、幼い頃からの宿命だった

間中木工所は、建治さんを含めて職人が6名いる製造業の会社ですが、事業を継ぐことにどのような想いがありましたか?

こう言うとありがちですけど、物心ついたときから『継ぐもの』だと思っていました。父の背中を見て育ち、自分も家具が作れるようになりたい、と自然に考えるようになったんです。父は社長であり、職人であり、設計士でもあり…とにかく何でもやる人で、そこに憧れもありました。

やっぱり実家の内装は間中木工所で作っているんですよね。こういうのも作れるんだと思ったり、ちょくちょく作ったものを子供のときに見せてくれていました。幅が広いというか、自分がほんとうにやりたいことや作りたいものを真剣に追い求めているのがうちの父で。自分もそういう姿を見て家業を継ぎたいと思ったんです。

特に印象的だったのは、小学4年生のときに家を建て替えたときですね。リビングには黒いタイルと木のフローリングが組み合わさっていて、真ん中にはローズウッドの収納家具がどんと一体化していました。その素材の組み合わせや空間の使い方に感銘を受けたのを覚えています。

木工所に入る前は、別の道を考えたことはなかったのですか?

実は大学を中退して、カフェのアルバイトをしていました。木工の知識も経験もなく、継ぎたいけど自分には無理かも、と考えていたんです。でもある日、父から突然「明日からちょっと手伝いに来い」と言われて。それが入社のきっかけでした。

最初の1年は、手元作業や配達など、サポート業務が中心でした。その後、職業能力開発センターの職業訓練校に1年間通い、手加工の技術を学びました。いまは機械で作れるものがほとんどですが、あえて手加工を学ぶことで「のこぎりはどう切れるのか」「のみの使い方」など、木工の本質を理解することができたと思います。

現在はどのような業務をされていますか?やりがいはどのようなところに感じるでしょうか

今は職人として家具を作る仕事が8割、商談や見積もりが2割という感じですね。主にオフィスや店舗の什器を制作しています。今もまだ、考えていることを如何に形にできるかというのを学んでいます。仕上がりにしても、取り付けする際にしても、一つ一つが勉強になっています。

やりがいは、お客様に納品した時の笑顔と「ありがとう」という言葉に感じますね。弊社で製造している家具自体が、特注で高級な製品なので、納品してお客様に満足していただける様子がみられることが、何よりも原動力でやりがいに感じます。

これは自分自身の考え方であったり、価値観となるものですけど、自分たちが作ったものというのは、それ自体が今までの努力や技術、作業工程であり、成果なわけです。何もない空間からいろいろパーツを組み合わせて、職人みんなで製造工程をになっていき、最後に完成した風景も、喜んでいるお客様も見ることができる。目に見えて達成感があるんですよね。

SIC(Sumida Innovation Core)の制作事例
ロッテシティホテルのエントランス制作事例

フロンティアすみだ塾で学んだ「作るだけじゃない、発信する力」

墨田区の若手経営者が学ぶ「フロンティアすみだ塾」に参加されたきっかけは?

職業訓練校を卒業して2年ほど職人として働いた後、叔父の勧めで入りました。叔父からもいいところだというのは聞いていたのですが、でもどこかで今じゃないなと思っていたんです。

その後、父が『すみだモダン』に関わっていて、墨田区の樹木を使ったベンチを作るプロジェクトがありました。木は、ベンチの脚に使うと腐ってしまうのですが、木材以外の材料を使うことになり、墨田区にある様々な会社の見学をしていました。

その中で、東日本金属さんにお邪魔したときに「フロンティアすみだ塾に入らないか」と声をかけていただきました。叔父からも別の会社の職人さんからも言われて悩んで(笑)。最終的には叔父から「やるかやらないかだ」と迫られて入塾を決めました。結果的には、入ってよかったと考えています。月に1回の発表があって、SWOT分析(企業の強み・弱みを分析する手法)や経営戦略についても学ぶことができ、また、同期の繋がりなどの貴重な人脈も得られました。

ものづくりの現場とは違う学びが得られるのですね

フロンティアすみだ塾で特に印象的だったのが、60人の前で10分間の自己紹介をするという最初の課題。(何を話せばいいんだ…)と悩んで、結局「ラーメンが好きです!」みたいな話になってしまって(笑)。でも、会場が和んで、そこから人前で話すことに対して苦手意識が薄れました。技術だけではなく、発信する力が必要だと学んだ場所でもありました。

墨田は『ものづくりのまち』としての歴史が深く、支え合う文化があります。自分にとっては、「帰る場所」ではなく「成長する場所」。ここで技術を磨き、次の世代に伝えていきたいですね。

BtoBからBtoCへ、よりお客様に近いものづくりを

間中木工所のこれからについて、今はどのようなことを考えていますか?

今後はBtoC(一般消費者向けの家具の販売事業)にも力を入れたいと思っています。やはり、お客様の顔が直接見える仕事をしたいという想いがあります。

あるとき、ご年配の女性のお客様から『一生の夢だった』と相談があって、プリンセス風のベッドを納品しました。そういう “夢を形にする仕事”にやりがいを感じるんですよね。

もう少し具体的にそのエピソードを教えてください

そのときに納品したプリンセス風のベッドは、ピンクのレースがぐるりと囲んであって、子供が憧れるようなベッドでした。ご年配の方だったのですが、こんなベッドで寝るというのが念願の夢だったということなんですね。

そのときに、改めて、自社の事業は家具製造と同時に誰かの夢を作っているんだ、ということを身に沁みて感じました。この経験が、自分の職人人生の軸になっています。ちょうど、私が入社3年目くらいのときで、技術を身に着けることで目一杯だったのですけど、お客様の背景をもっと大切にしたものづくりをする、ということを考えられるようになったかなと考えています。

これからの展望を聞かせてください

私個人の職人としての活動だけでなく、技術を承継していくために、現在、若手職人の育成にも力を入れています。技術のデータ化も進めていて、作り方をiPadで管理し、次世代に伝えやすくしています。

そして、職人として技術を磨くだけでなく、「木工をやりたい」と思う人がすぐに学べる環境を作ることが目標です。例えば、「だれでも1年で基礎を習得できるプログラム」を作れないか、などを考えています。また、墨田区は中小企業へのサポートが手厚く、地域のつながりが強いので、この環境を活かして、よりお客様に寄り添った家具づくりを発信していきたいと考えています。

会社情報

会社名(称号)株式会社 間中木工所
所在地(本社)
東京都墨田区錦糸1-15-2 MFABRIQUE 601
(工場)
東京都墨田区立花5-9-5 協同組合テクネットすみだビル
代表電話番号03-3625-9171
FAX番号03-3624-0796
メールアドレスmokkou.com@gmail.com
事業内容木製の特注家具の製造をメインに、設計、素材加工、塗装、仕上げ、取付までの一貫生産。
一般家庭から大規模公共施設まで、幅広いお客様に対応。

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