未来のアーティストたちが描く、北斎の世界──舞台芸術と地域の力が融合するSPUTNIKプロジェクト

未来のアーティストたちが描く、北斎の世界──舞台芸術と地域の力が融合するSPUTNIKプロジェクト

カテゴリ: すみだのイベント

東向島

目次

国内外で活躍する舞踊家・振付家、吉﨑裕哉さんが主宰するプロジェクトSPUTNIKが、墨田区を舞台に新たな挑戦をスタート。公募で集まった小学4年生から中学3年生までの子どもたち15名が、プロのアーティストやスタッフとともに、舞台芸術の可能性を切り拓いていきます。

テーマは、墨田区が誇る芸術資源である葛飾北斎の「花鳥画」。吉﨑さんが舞台と相性が良さそうな11点の絵を選び、子どもたちの身体パフォーマンスを通じて表現するという意欲的な取り組みです。

©️木原丹

地域への思いを込めて

このプロジェクトの発端について、吉﨑さんはこう語ります。
「これまでいろんな地方や海外で活動してきましたが、自分が育った墨田区で活動したことがなく、それが寂しかったんです。だから地域の子どもたちを巻き込む形で始めました。子どもたちのエネルギーは本当にすごい。『墨田区の子どもたちの力ってすごいでしょ』ってことを、地域の皆さんにも知ってほしいですね。」

作品づくりは子どもたちとの対話を重視。「『かにづくし』という作品では、『かに』から何を連想するか、子どもたちにアイデアを募りながら作り上げました。舞台に立つのが彼らの夢だったので、それが叶って本当に嬉しい」と語ります。

©️木原丹

9月からのリハーサルを経て迎えた初舞台

リハーサルを重ねてきた子どもたちは、舞台衣装とメイクで気合十分。本番直前、小学6年生の野本恵人くんと小学5年生の吉田百々香さんにも話を伺いました。

子どもミュージカル経験者の野本くんは、「緊張で体が張り裂けそうです。友だちも見に来るので、それが一番ドキドキ」と笑顔を見せます。一方、初めて舞台に立つ百々香さんは「ミュージカルが大好きだったから参加しました」と参加理由を語りながらも、「歌のキーが独特で難しくて苦労しました」と打ち明けました。

プロのアーティストたちと“本物の舞台”をつくる

今回の舞台では、現代音楽の作曲家が手がけた楽曲も取り入れられています。本物の舞台役者、演出家、その中に未来のアーティストたちも果敢に挑みます。も吉﨑さんは、「プロでも難しい音階が多く、子どもたちも苦労したと思います。それでもやり遂げる彼らの姿をぜひ観てほしいですね」と話していました。

©️木原丹

地域の力が生んだ特別な舞台に

この舞台を通じて、墨田区の子どもたちの力と舞台芸術の可能性を存分に感じられました。吉﨑さんは最後にこう締めくくりました。「子どもは未来への希望。彼らのエネルギーをこの舞台で存分に発揮して、地域全体が誇れるプロジェクトになれば嬉しいです。」

実際にユートリヤのホールは満員御礼。初舞台を迎えた未来のアーティストたちが描く北斎の世界。墨田区の地で芽吹いた才能と表現力の結晶が、たくさんの観客を魅了していました。

©️木原丹
毛柴新発売
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